12月に入ると、多くのご家庭から「直前期に何をすればいいのか分からない」というご相談をいただきます。新しい問題集に手を伸ばすべきか、過去問を繰り返すべきか、体調管理を優先すべきか。迷いが増える時期です。
結論から申し上げると、直前期にやるべきことは「新しいことを増やす」ことではなく、「これまで積み上げた力を、本番で確実に出せる状態に整える」ことです。そのための土台になるのが、合格最低点から逆算した科目別の得点シミュレーションです。
この記事では、武蔵中学校・高等学校のOBであり、現在は武蔵志望のお子さまを指導している立場から、12月から2月1日の本番までの過ごし方と、2026年度の入試データにもとづく得点シミュレーションの組み立て方を具体的にお伝えします。
この記事は、武蔵中学校受験ガイド2026の関連記事です。過去問の始め方・周回のしかたについては、武蔵中の過去問はいつから・どう解くかもあわせてご覧ください。
1. 直前期に押さえておきたい武蔵入試の基本データ(2026年度)
得点シミュレーションを組み立てる前に、まず2026年度の入試データを確認しておきます。
2026年度 武蔵中学校 入試結果
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 募集定員 | 160名 |
| 出願者数 | 539名 |
| 受験者数 | 521名 |
| 合格者数 | 184名 |
| 実質倍率 | 2.8倍 |
| 合格最低点 | 173点 / 320点(得点率約54%) |
| 合格者平均点 | 191.2点 / 320点 |
| 受験者平均点 | 161.3点 / 320点 |
科目別の配点・試験時間
| 科目 | 配点 | 試験時間 |
|---|---|---|
| 国語 | 100点 | 50分 |
| 算数 | 100点 | 50分 |
| 社会 | 60点 | 40分 |
| 理科 | 60点 | 40分 |
| 合計 | 320点 | – |
直前期に意識していただきたいのは、合格ラインが満点近くではないという事実です。2026年度の合格最低点は173点、得点率にして約54%でした。直前期の目標は、9割を取れる状態を目指すことではなく、この最低点を安定して超えられる状態を作ることです。
2. 直前期(12月〜2月1日)の過ごし方カレンダー
武蔵中学校受験ガイドで示している小6後半のスケジュールでは、12月・1月は次のように位置づけられています。
| 時期 | 優先すること |
|---|---|
| 11月 | 弱点補強・科目別の得点設計を微調整 |
| 12月 | 合格最低点を意識した演習・本番形式に慣れる |
| 1月 | 本番形式の最終確認・ミスを減らす調整 |
| 2月1日 | 入試本番 |
この表を、もう少し具体的な過ごし方に落とし込んでいきます。
12月|「本番形式」に慣れる月
12月の目的は、本番と同じ条件で力を出し切る感覚をつかむことです。
- 過去問や予想問題を、本番と同じ試験時間・順番で解く練習を増やす
- 得点シミュレーション(後述)をもとに、科目ごとの目標時間・目標得点を意識して解く
- 4科目を1日で通しで解く「本番リハーサル」を(時間的に可能であれば)組み込む
- 弱点補強は、新しい単元ではなく、11月までに洗い出した課題に絞る
1月|ミスを減らす月
1月の目的は、実力を伸ばすことよりも、本番で実力どおりの点を出せる状態に整えることです。
- 過去問は新しい年度を解くより、これまで解いた年度の解き直しと時間制限付の演習を中心にする
- 「わかっているのに落とす」ケアレスミスのパターンを洗い出し、本人に自覚させる
- 時間配分・解く順番・見直しの手順を固定し、本番と同じ流れをくり返す
- 生活リズムを、入試当日の時間割に合わせて整えていく
2月1日|本番
新しいことを試す日ではありません。これまで積み上げてきた実力を、そのまま再現する日です。
3. 合格最低点から逆算する得点シミュレーションの考え方
直前期に最も効果を発揮するのが、「合格最低点から逆算した得点シミュレーション」を持つことです。
なぜ「平均点」ではなく「合格者最低点」を目標にするのか
多くのご家庭は、合格者平均点である191.2点(2026年度)を目標に据えがちです。ですが、合格を決める基準は平均点ではなく最低点です。
直前期の目標としておすすめしたいのは、合格最低点173点に対して、数点を乗せた180点前後を目標ラインに置くことです。180点であれば、合格最低点を7点上回り、かつ合格者平均点191.2点にも近い、現実的で無理のない水準になります。
得点シミュレーションを持つことの意味
得点シミュレーションとは、「どの科目で何点取れば合計180点に届くか」という設計図です。これを持つことで、直前期の演習に次のような変化が生まれます。
- 「全部できないと不安」から「この科目でこの点数」という具体的な目標に変わる
- 本番で難問に出会ったとき、深追いせず次に進む判断がしやすくなる
- 科目ごとの得意・不得意に応じて、時間配分の優先順位が明確になる
4. 科目別・得点シミュレーションのパターン例
得点シミュレーションに唯一の正解はありません。お子さまの得意・不得意によって、現実的な配分は変わります。ここでは、合計180点前後を目標にした組み立て方のパターン例をご紹介します。いずれも一例であり、実際の目標点はお子さまの得意・不得意に応じて調整してください。
パターンA:バランス型(基本形)
| 科目 | 配点 | 目標得点 |
|---|---|---|
| 国語 | 100点 | 55点 |
| 算数 | 100点 | 55点 |
| 社会 | 60点 | 35点 |
| 理科 | 60点 | 35点 |
| 合計 | 320点 | 180点 |
4科目とも大きく崩さないことを前提にした、最も基本的な配分です。国語・算数はともに5割半ば、社会・理科はともに6割弱を目標にします。
パターンB:算数得意型
| 科目 | 配点 | 目標得点 |
|---|---|---|
| 国語 | 100点 | 50点 |
| 算数 | 100点 | 65点 |
| 社会 | 60点 | 32点 |
| 理科 | 60点 | 33点 |
| 合計 | 320点 | 180点 |
算数の得点力を活かし、国語・社会・理科は最低限を確実に取り切る設計です。算数で稼ぐ分、他科目での大崩れをどこまで防げるかが鍵になります。
パターンC:国語・記述得意型
| 科目 | 配点 | 目標得点 |
|---|---|---|
| 国語 | 100点 | 60点 |
| 算数 | 100点 | 50点 |
| 社会 | 60点 | 35点 |
| 理科 | 60点 | 35点 |
| 合計 | 320点 | 180点 |
記述で部分点を積み上げるのが得意なお子さんに向いた配分です。国語で稼げる分、算数は大問1・2の基本問題を確実に取ることに絞る戦略が現実的です。
パターンD:社会・理科堅実型
| 科目 | 配点 | 目標得点 |
|---|---|---|
| 国語 | 100点 | 50点 |
| 算数 | 100点 | 50点 |
| 社会 | 60点 | 40点 |
| 理科 | 60点 | 40点 |
| 合計 | 320点 | 180点 |
知識・資料読解が安定しているお子さんに向いた配分です。社会・理科で6割半ばまで積み上げ、国語・算数は半分をやや超える水準を確保します。
どのパターンを選ぶ場合でも、直前期にはお子さまの過去問の実際の得点分布を見ながら、この表を「仮の設計図」として更新していくことをおすすめします。
5. 科目別に見る、直前期の仕上げ方
算数|大問1・2の速度と正確さを仕上げる
武蔵の算数は100点満点・50分・全4問構成で、全問記述式です。大問1は小問集合で、難易度は他の大問と比べて低く設定されています。直前期には、大問1や各問の(1)などを短時間で正確に解き切る練習を優先してください。
あわせて、途中式や図を答案に残す部分点の技術も、直前期にもう一度見直しておきたいポイントです。単位や言葉を明示すること、場合分けの見出しをつけることなど、詳しくは武蔵中 算数の部分点、大問1の対策は武蔵中 算数 大問1対策で解説しています。
国語|条件チェックと書き言葉の最終確認
武蔵の国語は100点満点・50分で、大問1の記述読解が中心です。直前期には、設問の条件(「具体例をふまえて」など)を見落とさない確認の習慣と、話し言葉・ら抜き言葉が残っていないかの最終チェックを行います。
詳しくは武蔵中 国語の傾向と対策をご覧ください。
理科|おみやげ問題を含む考察の言語化を仕上げる
武蔵の理科は60点満点・40分で、実験・観察の考察問題が中心です。実物が配られて観察させる「おみやげ問題」も特徴的な出題です。直前期には、初めて見る題材が出ても慌てず、問題文の手がかりから考察を組み立てる練習を重ねてください。
詳しくは武蔵中 理科のおみやげ問題をご覧ください。
社会|理由・変化を根拠とセットで書く型を仕上げる
武蔵の社会は60点満点・40分で、1つのリード文に複数の小問がぶら下がる総合問題です。直前期には、「なぜそうなったか」「どう変わったか」を、根拠とセットで説明する型を最終確認します。決まり文句だけの抽象的な記述にならないよう注意してください。
詳しくは武蔵中 社会の傾向と対策をご覧ください。
4科目に共通する記述の作法は、武蔵中の記述対策にまとめています。
6. 直前期の過去問の使い方
直前期の過去問は、新しい年度を開拓する時期ではありません。これまで解いた年度を、タイムアタック形式で解き直す使い方が中心になります。
- 1周目・2周目で振り返った年度を、本番同様の時間で再度解く
- 前回とどこが変わったか、変わっていないかを確認する
- 直前期用に残しておいた年度があれば、本番直前の1〜2週間で「模擬本番」として使う
過去問の開始時期や周回のしかたについては、武蔵中の過去問はいつから・どう解くかで詳しく解説しています。
7. 保護者が直前期に気をつけたい3つのこと
1. 勉強時間の長さより、得点シミュレーションとの整合性を見る
直前期は、机に向かう時間の長さに目が向きがちです。ですが本当に見ていただきたいのは、その時間が得点シミュレーションのどの科目・どの弱点に結びついているかです。
2. 難問に時間を割きすぎていないか確認する
合格最低点は173点(2026年度・得点率約54%)です。直前期に難問を新規開拓するより、取れるはずの問題を落とさない練習に時間を割くほうが、得点シミュレーションの達成に近づきます。
3. 白紙答案を出さない習慣を最後まで崩さない
武蔵では、途中式や記述の方向性が得点対象になります。直前期であっても、わからないからと白紙で提出する癖がついていないか、最後まで確認してください。
保護者の関わり方全般については、武蔵中学校受験ガイド2026もあわせてご覧ください。
8. まとめ
- 2026年度の合格最低点は173点/320点(得点率約54%)。9割を狙う入試ではない
- 12月は「本番形式に慣れる」月、1月は「ミスを減らす」月と目的を分ける
- 得点シミュレーションは、合格最低点173点に安全マージンを乗せた180点前後を目標に組み立てる
- 得点配分に唯一の正解はない。得意・不得意に応じてパターンを選び、過去問の実績で更新していく
- 直前期の過去問は新しい年度の開拓より、解いた年度のタイムアタックが中心
- 保護者は勉強時間の長さより、得点シミュレーションとの整合性を見る
直前期にやるべきことは、特別なことではありません。これまで積み上げてきた力を、本番でそのまま出せる状態に整えること。それが、合格最低点を安定して超えるための、最も確実な道筋です。
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- ピラー記事:https://musashi-next.com/guide/musashi-juken/
- 算数:https://musashi-next.com/subjects/musashi-sansu/
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- 社会:https://musashi-next.com/subjects/musashi-shakai/
- 算数大問1対策:https://musashi-next.com/subjects/musashi-sansu-daimon1-taisaku/
- 算数部分点:https://musashi-next.com/general/musashi-sansu-bubunten/
- 記述対策:https://musashi-next.com/subjects/kijutsu-taisaku/
- 理科おみやげ問題:https://musashi-next.com/subjects/musashi-rika-omiyage/
- 姉妹記事(過去問はいつから・どう解くか):https://musashi-next.com/general/musashi-kakomon-itsukara/



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