更新日:2026年5月 執筆:武蔵NEXT講師|私立武蔵高等学校・中学校 OB講師
武蔵中学校の受験を考え始めたご家庭から、算数についてこんな声をよく伺います。
「武蔵の算数は難しいと聞くが、どこまで対策すればいいのか分からない」 「最後の大問まで解けないと合格できないのではないか」 「うちの子は算数が飛び抜けて得意ではないが、武蔵を目指していいのか」
結論から申し上げます。武蔵中の算数は、全問を解き切る試験ではありません。 出題される難問をすべて正解できる子だけが受かるわけではなく、むしろ「取るべき問題を確実に取り、難問は潔く捨てる」判断ができる受験生が合格していきます。
この記事は、武蔵高等学校・中学校の卒業生であり、現在は武蔵志望のお子さまを指導している立場から、武蔵中 算数の傾向と対策を、2017年度から2026年度までの過去問10年分を実際に解き直し、各年度の成績分布データまで分析した上でまとめたものです。一般論ではなく、武蔵が公表してきた実際の出題と採点傾向に基づいてお伝えします。
この記事を読み終える頃には、次のことが整理できているはずです。
- 武蔵中算数の配点・試験時間・出題形式という変わらない枠組み
- 過去問10年から見える出題傾向(頻出分野と、毎年変わる部分)
- 成績分布データから判断する「取るべき問題」と「捨てる問題」
- 武蔵算数で失点する受験生に共通するパターン
- 部分点を確実に積み上げる答案の書き方
順を追ってご説明します。
1. 武蔵中 算数の基本データ|配点・試験時間・出題形式
武蔵入試の算数対策を考えるうえで、まず押さえておきたいのが、10年間ほとんど変わっていない試験の枠組みです。
武蔵中の算数は、試験時間50分・100点満点・大問4題という構成です。国語と並んで配点の柱となる科目で、社会・理科が各60点であることを考えると、算数の100点が合否に与える影響は小さくありません。

ただし、武蔵算数で最も特徴的なのは配点よりも出題形式です。武蔵の算数は、ほぼすべての大問に「式や考え方も書きなさい」という指示がつきます。解答用紙は答えを記入する欄ではなく、考えた過程をそのまま書き残す広い余白になっています。つまり武蔵算数は、答えの数字だけを採点する試験ではなく、どう考えたかという思考のプロセスを採点する試験なのです。この形式が、後述する「部分点」と「捨て問の判断」という武蔵特有の戦略を生み出しています。
ここで、合格点の感覚を持っておきましょう。武蔵中2026年度入試の4科目合計の合格最低点は、320点満点中173点でした。得点率にすると約54%です。算数に限ってみると、2026年度の算数の合格者平均点は57.0点、受験者平均点は43.2点でした(学校公表データより)。
この数字が示すのは重要な事実です。武蔵入試における算数は、満点や高得点を取らなければ合格できない試験ではないということです。合格者でも平均は6割弱であり、他科目とのバランス次第では算数が50点に届かなくても合格圏に入ります。武蔵中 算数の対策は、この「合格点の現実」から逆算して設計する必要があります。
2.【過去問10年分析】武蔵入試 算数の出題傾向
ここからが、この記事の中心です。2017年度から2026年度までの武蔵中入試問題10年分を分析して見えてきた傾向を、実際の出題に基づいてお伝えします。
固定されているのは「形式」と「大問4の難問配置」
最初にお伝えしておきたいのは、武蔵算数の大問構成は「完全に固定」されているわけではないということです。インターネット上には「大問1は計算、大問2は図形、大問3は速さ」と断定する解説も見られますが、過去問を10年通して見ると、それは正確ではありません。
10年間で確実に変わっていないのは、次の2点です。第一に、大問4題・50分・100点・全問記述式という形式面。第二に、大問4が毎年「思考型の最難問」のポジションに置かれているという配置です。この大問4は、規則性・場合の数・調べ上げといった、その場で粘り強く考えさせる武蔵らしい問題が一貫して出題されてきました。
一方で、分野の配置は年によって動きます。たとえば平面図形は多くの年で大問2に置かれますが、2018年度は大問2が通過算で図形は大問1の小問に、2026年度も大問2が信号機を題材にした速さの問題で、平面図形は大問1の小問として出題されました。ですから「大問2は図形」と決めつけて対策すると、本番で形式が変わったときに動揺しかねません。固定と捉えるのではなく、傾向として捉えるのが正しい構え方です。
過去問10年の出題分野一覧
実際の10年分の大問ごとの出題分野を整理すると、次のようになります。
| 年度 | 大問1(小問集合) | 大問2 | 大問3 | 大問4 |
|---|---|---|---|---|
| 2017 | 割合と比・調べ | 平面図形(相似・面積) | 旅人算 | 整数の性質(倍数) |
| 2018 | 食塩水/台形の面積比 | 通過算 | 売買損益・つるかめ | 整数の操作・規則性 |
| 2019 | 素数・約数 | 平面図形(相似) | 図形上の点の移動 | 場合の数・調べ上げ |
| 2020 | 周期算/つるかめ | 平面図形(面積比) | 場合の数(積の一の位) | 規則性 |
| 2021 | 計算/仕事算 | 速さ(登山の旅人算) | 平面図形(正六角形) | 立体(展開図)・場合の数 |
| 2022 | 公倍数/つるかめ | 平面図形(面積比) | 場合の数(調べ上げ) | 速さ(点の移動・円) |
| 2023 | 素因数分解/場合の数 | 仕事算(窓口) | 平面図形(正方形) | 規則性・場合の数 |
| 2024 | 互いに素/仕事算 | 平面図形(直角三角形) | 旅人算(複数コース) | 規則性・場合の数 |
| 2025 | 食塩水/周期算 | 速さ(乗り物の乗り継ぎ) | 平面図形(台形・面積比) | 規則性・調べ上げ |
| 2026 | 売買/二等辺三角形 | 速さ(信号機) | 売買・場合の数 | 平面図形・面積・調べ上げ |
この一覧から、算数の傾向がはっきり見えてきます。毎年必ず出ると言ってよいのが、図形(とくに相似・辺の比・面積比)、速さ(旅人算・点の移動)、そして規則性・場合の数・調べ上げの3分野です。これらが大問2〜4のどこかに、年によって配置を変えながら登場します。大問1は計算と小問集合で、食塩水・つるかめ算・売買損益・仕事算・数の性質といった典型題が組み合わされます。
逆に言えば、この3分野+大問1の典型題を固めることが、武蔵中 算数の対策の柱になります。新奇な難問を追いかけるより、頻出分野の標準〜やや応用レベルを確実にすることのほうが、はるかに合格に直結します。
3. 分野別・算数の傾向と対策
ここからは、頻出する分野ごとに、過去問の具体例を引きながら傾向と対策を見ていきます。
図形|「相似と面積比」を比で処理する力
図形は、武蔵算数でほぼ毎年問われる中心分野です。10年を通して目立つのは、相似と辺の比を使って面積比に持ち込む平面図形です。
たとえば2025年度の大問3は、面積70cm²の台形で、辺の比から三角形や四角形の面積を順に求めていく典型的な構成でした。2022年度の大問2(面積132cm²の平行四辺形)、2023年度の大問3(2つの正方形)、2024年度の大問2(3:4:5の直角三角形)も、いずれも「相似を見抜き、比を正確に処理する」ことが軸でした。複雑な定理や特殊な解法はほとんど必要ありません。
ここで重要なのが、武蔵の採点姿勢です。2019年度の大問2の講評では、「比の値と長さを混同している解答が多い」「問題にない誤った条件(角BHFが直角など)を使っている解答もあった。勝手な思い込みではなく、問題に与えられた条件を正確に使うよう心掛けてほしい」と明記されていました。つまり武蔵の図形では、ひらめきよりも、与えられた条件を正確に使い、比を丁寧に処理する地道さが評価されます。
対策としては、相似の発見と辺の比から面積比への変換を、補助線を引きながら確実に処理する練習を積むことです。2020年度の講評にあるように「補助線はむやみに引くのではなく、何のためにその補助線を引くのかを考える」姿勢が、武蔵の平面図形では特に効きます。
速さ|条件を図に整理し、ダイヤグラムで処理する
速さ・旅人算・点の移動も、武蔵の頻出分野です。2017年度(向きを変えながら進む旅人算)、2021年度(登山の往復)、2022年度(円周上の点の移動)、2024年度(大小2つのコースを回る3人)、2026年度(信号機を絡めた速さ)と、ほぼ隔年以上で出題されています。
武蔵の速さ問題の特徴は、設定が複雑で、問題文を正確に読み取らないと状況をつかめない点にあります。2021年度の大問2の講評では「P-山頂間と山頂-Q間が同じ道のりだと決めつけて解答している受験生が非常に多かった」と指摘されています。条件を勝手に補ってしまう思い込みが、ここでも失点の原因になっています。
対策の核心は、問題文の条件を線分図やダイヤグラム(進行グラフ)に書き起こす習慣です。複数の人や点が同時に動く武蔵の速さ問題は、頭の中だけで処理しようとすると必ず混乱します。2024年度の講評でも「ダイヤグラムなどを使って位置関係を上手く整理できたかが鍵」とされており、図に落とす技術がそのまま得点力になります。
規則性・場合の数|大問4の「武蔵らしさ」
そして、武蔵算数を最も特徴づけるのが、大問4を中心に出される規則性・場合の数・調べ上げの問題です。これこそが「武蔵らしい問題」と呼ばれるものの正体です。
具体例を挙げると、2017年度はカードの積が3で割り切れる回数を考える問題、2019年度はマス目の塗り方と周の長さ、2023年度はキッカーとキーパーの対戦が成立する条件、2024年度は数の並べ方の点数を数える問題でした。いずれも、特別な公式を知っているかではなく、ルールを正確に理解し、条件に合う場合を過不足なく調べ上げ、その中に潜む規則性に気づけるかを問うています。
これらの問題に共通するのは、(1)は具体例で手を動かせば取れる基本レベルである一方、後半の小問になるほど急激に難化するという構造です。だからこそ大問4は、前半で確実に部分点を取り、後半の難問は深追いしないという判断が決定的に重要になります。
対策としては、まず「書き出して調べる」ことを面倒がらない姿勢を育てることです。2023年度の講評でも「状況を整理しながら色々と書き出してみて、何回かやっていくうちに規則性が見つかる」と促されています。いきなりスマートに解こうとせず、手を動かして規則を発見するプロセスそのものが、武蔵が見たい力です。
大問1の小問集合|ここを落とさないことが合格の前提
最後に、地味ですが最も重要なのが大問1の小問集合です。食塩水(2018・2025年度)、つるかめ算(2020・2022年度)、売買損益(2026年度)、仕事算(2024年度)、数の性質(2019・2023年度)など、塾のテキストで必ず扱う典型題が並びます。
成績分布を見ると、大問1は「上位(よくできた層)が50〜77%」という年が多く、合格者にとっては落とせない得点源です。ここでミスをすると、難問が解けても取り返せません。大問1は速く正確に解き切り、残り時間を図形・速さ・規則性に回す、という時間配分が武蔵算数の基本戦略になります。
4.【成績分布で判断】武蔵算数で「取る問題」と「捨てる問題」
武蔵入試の算数対策で最も価値があるのが、この「取捨選択」の感覚です。そして幸いなことに、武蔵の解答解説には各大問の成績分布(上位・中位・下位の割合)が示されており、どの問題が合否を分けたのかをデータで判断できます。10年分のこのデータを読み解くと、「取るべき問題」と「捨ててよい問題」の境界がはっきり見えてきます。
難易度は成績分布に正直に表れる
いくつか実例を見てみましょう。
2020年度の大問1(2)は、800円のランチAと1000円のランチBにクーポンが絡むつるかめ算でしたが、講評は「非常によくできていた(上77%・中20%・下3%)」。一方、同じ年の大問4は、選挙の「按分(票を比で分配し小数第2位を切り捨てる)」という見慣れない設定の問題で、「上5%・中25%・下70%」と、受験生の7割が下位という結果でした。同じ試験の中で、これほど正答率に差が出るのです。
2024年度も同様です。互いに素な整数の個数と仕事算を扱った大問1は「ぜひ正解してほしい問題(上55%)」。3:4:5の直角三角形が題材で解きやすかった大問2は「正答率は高かった(上45%)」。ところが、数の並べ方の点数を数える大問4は「上20%・中20%・下60%」でした。
この傾向は10年を通して一貫しています。大問1と、易しめの図形は上位率が高く、合格者なら取って当然の得点源。大問4の後半や設定の重い問題は下位率が高く、合否を分けていないのです。
「捨ててよい問題」は、合格者も解けていない
ここで強調したいのは、下位率の高い難問は、合格した子も同じように解けていないことが多いという点です。2026年度入試後に「算数が難化した」という声が多く上がりましたが、難化したのは主に各大問の後半の小問です。最後の小問まで完答しようとすれば確かに極めて難しいセットでしたが、合格者も不合格者も同じように解けないのであれば、その問題は合否の分かれ目になっていません。
実際、2026年度の武蔵中 算数で合格に必要だったのは、おおむね大問1の全問、大問2の小問2まで、大問3の小問2まで、大問4の小問1という範囲でした。この範囲を確実に得点すれば、算数で50点台半ばに届きます。これは合格者平均(57.0点)に並ぶ水準です。残りの難問は、解ければアドバンテージになる「ボーナス」であって、合格ラインを越えるために必須のものではありません。
詳しくはこちらのnote記事をご覧ください。
武蔵入試における算数の現実的な得点設計
以上を踏まえると、算数の現実的な得点戦略はこうなります。各大問の(1)、できれば(2)までを確実に取り切る。武蔵の問題は、後半の小問ほど難化する構造なので、各大問の前半を拾うだけで、合格に必要な点数の大半が積み上がります。そして最後の難問群は、解ける手応えがあれば取りにいき、なければ深追いせず、途中までの考えを書いて部分点を狙う。「何を解くか」以上に「何を解かないか」を見極めることが、武蔵算数では合否を左右します。

5. 算数で失点する受験生の共通点|講評から読み解く
武蔵の解答解説には、毎年「講評」として、採点者が受験生の答案を見て感じたことが率直に書かれています。これは武蔵が何を見ているかを知る、極めて貴重な手がかりです。10年分の講評を読み込むと、失点の原因が驚くほど共通していることが分かります。それは知識不足ではなく、読解と処理のミスです。

共通点1:問題文の条件を読み落とす・思い込む
最も繰り返し指摘されているのが、条件の読み落としと思い込みです。先に挙げた2021年度の登山問題では「P-山頂間と山頂-Q間が同じ道のりだと決めつけて解答している受験生が非常に多かった」、2019年度の図形では「問題にない誤った条件(角BHFが直角など)を使っている」と指摘されています。
象徴的なのが2022年度の大問4です。この問題は冒頭に「この問題では円周率は22/7とします」と明記されていました。にもかかわらず講評には「本文を良く読まずに円周率を3.14で計算している受験生も見受けられた」とあります。問題文に書かれた条件を正確に拾うこと——武蔵が最も重視するのは、まさにこの基本姿勢です。
共通点2:情報量の多い問題で処理が混乱する
武蔵の問題、とくに速さや場合の数は、条件が多く設定が込み入っています。2023年度の窓口の仕事算(前売券と当日券で処理人数が違う)では「問題文に出て来る条件が多いので、途中で混乱してしまった人も多かった」、2020年度の按分の問題では「多くの情報の中の何に着目すれば何が求まるかをよく考えてほしい」と講評にあります。
これらに共通する処方箋は、図・表・線分図・ダイヤグラムに条件を書き起こすことです。武蔵の講評は繰り返し「図などを用いて状況を整理しながら、何の差に注目すれば良いのかを考えて解くと良い」と促しています。頭の中だけで処理しようとせず、紙の上に情報を出す癖が、そのまま失点を防ぎます。
共通点3:難問を全部書き出そうとして時間を失う
場合の数や調べ上げの問題で、すべてのパターンを愚直に書き出そうとして時間切れになるケースも目立ちます。2022年度の分銅の問題や、2023年度のキッカーの問題の講評では「すべての場合について書き出さなくても良いことに気付き、最後は答えを出してほしい」「規則性が見つかると思うので」と書かれています。手を動かして調べることは大切ですが、途中で規則に気づいて効率化する——この切り替えも、武蔵が見ている力です。
これらはすべて、武蔵が掲げる「自ら調べ自ら考える」という教育方針、そして入試の「思考プロセス重視」という性格と地続きです。武蔵算数の対策とは、難問の解法暗記ではなく、問題文を正確に読み、条件を整理し、自分の考えを答案に残すという地道な力を育てることに他なりません。
6. 算数で部分点を取る答案の書き方
武蔵算数が全問記述式である以上、部分点を取る答案術は得点を大きく左右します。答えが合わなくても、考え方の方向が正しければ点が入る——この仕組みを使いこなせるかどうかで、合否ラインの数点が変わります。
具体的には、次のことを意識してください。
第一に、式だけでなく、何を求めようとしているのかを一言添えること。たとえば速さの問題なら「AとBの速さの和は1800÷5=360(m/分)」のように、その式が何を意味するかが採点者に伝わる形で書きます。武蔵の解答解説の模範解答自体が、まさにこの「考え方を言葉でつなぐ」スタイルで書かれています。
第二に、図・線分図・ダイヤグラムを答案に残すこと。これは失点を防ぐためだけでなく、最終的な答えにたどり着けなくても「正しく状況を整理できている」という途中点の対象になります。
第三に、白紙で出さないこと。難問でも、分かるところまでの条件整理や、見抜いた比、立てた式を書き残せば、そこに部分点が生まれる可能性があります。完璧な答案を目指して手が止まり白紙で提出するより、要素を一つでも残すほうが、確実に得点につながります。
過去問演習の振り返りも、「○か×か」「何点だったか」で終わらせないことが大切です。どこまで正しく考えられていたか、どの段階で方針がずれたか、部分点をもらえる書き方になっていたか——この視点で答案を見直すことが、武蔵算数の得点力を最も伸ばします。
7. 武蔵中の算数に関するよくある質問(FAQ)
Q. 武蔵入試の算数は何点取れば合格できますか? 2026年度の算数の合格者平均点は57.0点でした。ただし合否は4科目合計(合格最低点173点/320点)で決まるため、算数が50点未満でも、他科目とのバランス次第で十分に合格可能です。算数で高得点を狙うより、合格最低点を安定して超える設計を意識してください。
Q. 武蔵の算数では難問対策が必要ですか? 最優先ではありません。過去問の成績分布を見ても、合否を分けているのは各大問の前半にある基本〜標準問題です。難問は合格者も解けていないことが多く、深追いはむしろ危険です。まずは頻出分野(図形の比・速さ・規則性/場合の数)と大問1の典型題を固めることが、武蔵中 算数の対策の本筋です。
Q. 武蔵中算数の過去問はいつから始めるべきですか? 本格的な演習は小6からで十分ですが、小5の段階で各大問の(1)だけ解かせてみるのはおすすめです。各大問の小問1は基礎が身についていれば解けるレベルが多く、4問中3問ほどスムーズに解ければ、武蔵合格に向けた基礎力は十分にあると判断できます。現在地と合格までの距離をつかむ良い機会になります。
Q. 図形が苦手でも武蔵中を目指せますか? 目指せます。武蔵の図形は相似と面積比が中心で、特殊な解法より「条件を正確に使い、比を丁寧に処理する」ことが問われます。年によっては大問2が図形でない年(2018・2026年度など)もあるため、図形だけで合否が決まるわけではありません。苦手でも、典型的な相似・面積比のパターンを固めれば十分戦えます。
Q. 塾の勉強だけで武蔵の算数の対策は十分ですか? 基礎力は塾で身につきますが、武蔵特有の「記述で部分点を取る答案術」や「難問を捨てる判断」は、集団授業だけでは身につきにくい部分です。過去問演習の振り返りで、答案のどこに部分点が入るか、どの問題を捨てるべきかを一緒に見てくれる存在がいると、得点効率は大きく変わります。
まとめ|武蔵中入試の算数は「取るべき問題を取る力」で合格できる
最後に、算数の傾向と対策のポイントを整理します。
武蔵の算数は、試験時間50分・100点・大問4題の全問記述式という枠組みが10年間安定しています。出題分野は完全固定ではないものの、図形(相似・面積比)、速さ(旅人算・点の移動)、規則性・場合の数・調べ上げが頻出で、大問4は毎年「思考型の最難問」のポジションに置かれます。
そして過去問10年の成績分布が示すのは、合否を分けているのは難問ではなく、各大問の前半にある基本〜標準問題だという事実です。合格者平均でも算数は6割弱であり、満点を取る必要はありません。必要なのは、問題文を正確に読み、条件を図に整理し、取るべき問題を確実に取り、難問は途中点を狙いながら潔く捨てる——この判断力です。
武蔵の教師による公式講評が繰り返し求めているのも、難問を解く才能ではなく、「与えられた条件を正確に使い、自分の考えを答案に残す」という地道な力でした。これは武蔵が掲げる「自ら調べ自ら考える」教育方針そのものです。武蔵入試算数の対策とは、正しい方向に力を積み上げることにほかなりません。
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